隣地には繁茂（はんも）する庭木があり、広く視界が通る空隙を見込めた。隣人の庭木にこうべを垂れる。その風景を切り取るように木製の引き戸と縁側を設けた。コンクリートの縁側によって、居間と外部空間が一体的に活用されることを期待している。縁側の上部は一間分の屋根を跳ね出すことによって、雨をしのぐ遊び場としても利用可能であり、大きな建具、縁側とともに憩いの場を広がっている。内部は全てラワン合板の突き付け貼りとしている。1階の端から２階の端まで合板が突きつくという妙技を深く体感することができる。外壁・屋根は板金業者、木工事・仕上げは全て大工が施して、業種を抑えることでコストカットを実行している。手間の反面、大工の過酷さの叫びを何度か頂戴したが、最後まで粘り強く付き合ってくれた。この場を借りて感謝申し上げたい。
美しい仕上がりです。