沼垂の家
新潟市は沼垂という屋混みの中の建つ狭小住宅である。沼垂、天命、蒲原・・・街として様々なコンテンツが整う複雑性。地域一帯は路地が張り巡らせた迷路の様相を呈し、窮屈さを否めないが、初見で、1mほどの路地の脇の特徴的な敷地を一気に気に入る。南は比較的建蔽率いっぱいの建物で光の取りいれさえ微妙だ。都市の断面を切ると、この地域は1m、1.5m、2mのボイドが生まれ、断面の図と地があることを感知する。そのイメージを踏襲しつつ、必要なプログラムを想定した時に、建物を正面から見たときに真ん中に地からの天への線引きをを入れ、ボリュームを2分する。相対的にみて、お隣同士のボリュームは、ボイドとして取り扱うことが可能だ。狭い敷地に連れて建築空間は狭小となるも、図と地、白と黒という相反性を基調とすることによって、お互いの裏を勘ぐるような内部が少しでも間延びする感覚を覚えられるように計画した。都市を散歩する延長線上で、空間が空間を分節する仕組みのラインを散策する。作り成された2分された空間は、仕上げにおいて、こちらも2分する仕組みとし雰囲気の違いを醸している。光は東と天と西からの採光であるが、十分に心地よい。海風も軽やかに運ばれる。清々しい。
竣工 : 2020年5月
所在地 : 新潟市中央区
用途 : 住宅
構造規模 : 木造
建築面積 : 59.00㎡
床面積 : 59.00㎡
写真 : 村井 勇
completion : 2020.05
location : Nuttari, Niigata City
program : house
structure : Wood
building area : 59.00㎡
total floor area : 59.00㎡
photo : Isamu Murai