聖籠35 house

聖籠町 | house

聖籠35 house

Seirou 35 house

聖籠町の農村集落にたつ平屋の住まいである。農村・農家の人々が古くから築いた農の文化を至る場所で垣間見る。土と太陽を共にした産業とその日常生活が悠然とただそこに在る。自然の恩恵に呼応する人々の農に対する日々の努力が滲んでいる。集落の家々をふと眺めると、お互いの距離を保ちつつ、且つ平屋であり、太陽に反応して東西に長い。個々の諸空間が南の光を仰ぎ、それぞれが縁側を設け、庭に対峙する。また個々の農家はオモテ玄関を威風堂々と凸に南へ張り出し、豪勢を謳い、客人をもてなす8-10帖ほどの玄関装置が南に存在する。手前から奥への掛け渡しの間がある。
200坪を超える既存の大きな母屋は家族3人にはあまりに大きく、躯体の経年劣化や、動物たちの宿り木・棲家となるも、解体をほどこし、新居を構えることにした。ただし、提案として、集落としての連鎖空間でもある南玄関を解体せず、安田瓦をはじめ先々代が築いた住まいの一部を残しアプローチ動線へ転用することにした。こうべを垂れて挨拶をする境界空間が継続されることになる。残された空間の奥、つまり北側に新居を構え新旧が繋がる計画とした。集落の既存住宅のほとんどは、120角の柱、貫構造、立派な松の梁で構成される農家らしい住まいである。地場ならでは人、技術、もの、材料、システムで、集落形態・住居形態が、一つの教えのように存在している。
聖籠の土と太陽、そして人の営みに順応する場所をめざそうと、継続かつ発見という観点で、住まいの計画を始めた。
無論建物は東西に長く平屋として建つ。地場の杉材を活用し、かつ構造材は3.5角材ですべてを賄うこと、また大工の技術を信頼し、ハブを通さず、大工の刻みにより構築することを前提とした。 大工たちが「さんごはうす」を口癖に何本もの杉を刻む。新潟の県産杉3.5角の使用を条件設定として、構造家のアドバイスのもと、規定の積雪量を対象に頬杖トラス構造を採用している。土台、大引、柱、梁、頬杖、垂木、そのすべてが地場で流通する3.5寸ベースの素材を活用している。外壁は秋田でとれる上質は杉・赤を施し、サッシの霜除けにも活用している。地元や近県産業の流通品を可能なかぎり利活用している。身近に存在する価値のある物や事の繋ぎ合わせによって生まれた住まいである。

竣工 : 2020年3月

所在地 : 聖籠町

用途 : 住宅

構造規模 : 木造

建築面積 : 83.69㎡

床面積 : 82.88㎡

構造設計 :

田中哲也
田中哲也建築構造計画

写真 : 松崎典樹 NON SUCH photography

completion : 2020.03

location : Seirou-Machi

program : house

structure : Wood

building area : 83.69㎡

total floor area : 82.88㎡

structure design :

Tetsuya Tanaka
Tetsuya Tanaka structure design office

photo : Noriki Matsuzaki NON SUCH photography

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