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福島県 | second house

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O divided by four

2020年9月、夏の終わりに敷地を初めて訪ねる。ブヨと格闘しつつ、スタッフと共に出来る限りの情報を野帳として記録する。豊かな自然の情報を採取する。土地にはナラの木が主として群生し、カエデ、クリの木を散見する。
ナラの木は幹が約300φ前後で各々は20m近くにもなる。長い年月を経て生きる木々をそのまま保存することを第一条件とし、樹木を切らずして余白の場に建築することは必然に思えた。木々の幹を繋ぎ合わせたラインの一筆描きの中に建築を納める。
ナラの木を見上げる。もちろん枝振りが広がり太陽の恩恵を享受しようと木々も必死だ。建物を上層へと積めば必然に枝を落とすことに繋がる。枝を落とすことは最もシンプルな行為であるが、自然は枝の傘を差し伸べてくれる。「枝の下に建築できなかろうか」 木々の枝打ちは禁じ手とし、建築に緩衝す樹木をプロットしその枝振りの高さを野帳に記録した。。
土地の南側の高台に位置するナラの木の枝振りの下端高さを採寸すると、枝振り高さは4.8m~5.5mと記録できた。木々の枝打ちを必要としない建築を心掛けると、この高さが基準となる。建築物の最高高さは自然の中の樹木から導き出された。
残りの土地の特徴を上げると、人工物として管理された道である。その道は綺麗な4分の円を描いている。北から西へ1.5mの高低差がある。敷地を探求しようと4分の円弧上を幾度と往来する。どの円弧上を歩いていても、敷地を満遍なく見渡せると同時に、円弧上の自分の歩行先のプログラムを見ることが可能であるということ。これらの一連の行動を、弧の弦を軸に対称反転すると、弧を建築プログラムの配置先として捉えて、空間の中の動線上のどの位置からも多彩な自然が飛び込んでくるのではなかろうか。。
4分の円弧に添って各プログラムをならべフラットな平屋を形成した。外部の庭の円の中心から建物をみると、弧状のプログラムと内部の暮らしの動線が一目で把握できる。と同時に内部からはどの円弧上の位置にいても広い視野の外部風景と生活者の動線、内部のプログラムを把握できる。諸室を円弧上に並べて豊かな自然と自己との距離・離隔・寸法を幾重にも捉え、自分自身の存在位置を確認する空間である。

竣工 : 2022年10月

所在地 : 福島県

用途 : セカンドハウス

構造規模 : 木造+コンクリート造

建築面積 : 109.63㎡

床面積 : 99.93㎡

構造設計 :

田中哲也
田中哲也建築構造計画

その他協力 :

施工-㈱オオバ工務店

写真 : 藤井 浩司 トレアル

completion : 2022.10

location : Fukushima Pre.

program : second house

structure : Wood + Concrete

building area : 109.63㎡

total floor area : 99.93㎡

structure design :

Tetsuya Tanaka
Tetsuya Tanaka structure design office

other cooperation :

builder -Ooba Construction (Kooriyama-City)

photo : Koji Fujii / TOREAL Inc.

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