赤沢保育園
Akazawa Nursery School
新潟市・しもまち地域にある保育園舎の建て替えである。
一つは安全性を意識する
ご案内の通り、しもまちは屋込みの町として知れわたり、建物が寄せ合いそれがまた路地を形成し、情緒ある下町の景色がひろがる。
その反面、防災上不利な準防火地域でもあり、密な街の中の園舎ということを考慮して、まずは安全性を担保する計画とした。敷地は狭小で2階に保育室が配されることは必然であったことから、建物は防火性、耐震性を考慮し鉄骨造・準耐火建築として構造設計している。ならびに構造計画において新潟市の積雪量1m基準に対し2mとして設計を行い、最上部からの耐力の割り増しを行い、安全側の構造設計としている。また新潟地震の経験者は語るように液状化現象が起こりやすい沿岸部の軟弱地域であり、これに対し基礎下に液状化対策の杭工事を施し、基礎下の深淵部の安全性を担保している。
園児たちの生活に緩やかな空間をつくる
新園舎において「廊下」という空間から空間へ渡るためだけの動線空間を造らず、園舎のあちこちでフレキシブルな空間をしつらえた。わざと余裕を与える仕組みとし、機能を限定せず、保育室という一つの空間にとどめることのないよう、子供たちの生活動線に柔軟性を与えている。例えば玄関ホールを見るように、下駄箱という機能空間とは別に、子供たち、先生、保護者が各々のスペースを確保して「居場所」を作り易いようにしている。同様に0-2歳室前、3-5歳室前、遊戯室近傍に前室としてのゆとりあるスペースを設けて、子供たちの行動領域をなるべく制限しない空間配置としている。また遊戯室は片側の隅に舞台がある事が一般的だが、ホールと遊戯室の合間に壇上の空間を設えて、非日常的には舞台に変身するも、日常的には子供たちの大はしゃぎの場として活用されている。
\「1日先生」を体験する機会をいただいた/
子供たちの思いや行動は、自由であり変容するものであり差異があり、そしてユーモアと笑顔で溢れている。こどもたちのエネルギーに見合うように、創造的な活動がおこりやすい空間を作りだす基盤づくりを終え、これを頼りに変化し続ける先生と子供たちの楽しい保育の場に胸を躍らせ期待したい!
竣工 : 2021年3月
所在地 : 新潟市
用途 : 保育園
構造規模 : 鉄骨造
建築面積 : 517.10㎡
床面積 : 804.03㎡
写真 : 村井勇
completion : 03.2021
location : Niigata City
program : nursery school
structure : Steel
building area : 517.10㎡
total floor area : 804.03㎡
takashi takamizawa
ladderup architects
Architect
N sketch Norikazu Iguchi
photo : Isamu Murai